PROJECT STORY 04最先端の半導体製造。
未来を創る設計図を描く。

PROJECT STORY

セラミック製の半導体製造装置用部品の開発。

それは、今後の成長市場のためのMARUWAの重要ミッションであった。

石英ガラス製品とは異なる、新たな製品開発に挑む技術者を追った。

PERSON 01

まだ見ぬモノに挑むチカラ。

K.E/ 技術開発

2018年入社 名古屋大学大学院 修了

大学院では、高効率化による大幅な省エネの実現を目指し、半導体の基礎研究に注力。車メーカーでの技術開発を経て、MARUWAに就職。現在は、半導体製造装置向けの石英ガラス製品の開発に加え、新規製法で製造するセラミック製品の開発から量産化までのプロジェクトを牽引する。

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目指す未来は決まっている。

入社後、担当したのは半導体製造装置向けの石英ガラス製品の開発技術。そして少し慣れたころ、新しいプロジェクトを任されることになった。

MARUWAは、これまでセラミック基板製造では高いシェアを誇る技術をもっていたが、半導体装置向けのセラミック製品開発を新たに担うことに。従来の自社製セラミック製品の製法とは異なるため、この製品開発は会社にとっても新たな挑戦だった。

昨今の世界的な半導体需要の高まりに合わせ、この製品の製造と量産化はMARUWAにとって新たな市場を開拓するための大きなミッションとなっていた。

今後のMARUWAに明るい光をもたらすようなビッグプロジェクトへの参加。入社間もない私への声がけに驚きはあったが、不安はなく、むしろ好奇心が強く湧いた。プレッシャーを感じることはなかったのだが、たった一つの問題が頭をよぎる。

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直感を信じ、効率の良い道を探す。

ゼロからのスタートだったが、プロジェクトは立ち上がった。最初に手にしたのは、焼結装置の取扱説明書。温調計、放射温度計……、説明書に並ぶのは、馴染みのない製品ばかり。新しい情報のインプットには苦慮したが、製品への深い理解は必要不可欠。操作や作業方法を学び、周りの人の協力を得て、ようやくスタート地点に立てた。

「セラミック粉末を成形し、炉に入れて焼結する」。一見、陶器を作る作業に似ているが、それとは異なり、さまざまな物理的特性を精密にコントロールしなければならなかった。

部材を詰めてから焼結し、加工後、分析にかける。この一連の作業には、数週間を要す。再現性を重視し熟慮しながらの作業は、手間も時間もかかる。

分析結果が出るまでは、仕上がりは分からない。温度・圧力・加熱と加圧の時間・真空状態など、パラメーターは無限だ。それぞれを調節し、強度や熱伝導性、電気特性のバランスを考え、より良い方法を模索する。

とはいえ、やみくもに試作しても意味がない。材料の性質や特徴から、どの物理的特性がキーパラメーターになるかを適切に見極める必要がある。限られた期間の中である程度の目星をつけて進めるのは、効率と直感を信じる私のやり方だが、答えにたどり着くためには、さまざまな可能性を考慮した試験計画を立てなければならない。

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いつ終わるとも知れない道のりが続く。

今、この新しい製法での製造にようやく量産への光が見えてきている。あと一歩のところだと言ってもいいだろう。そして、売り上げがゼロに近かった状態も改善されてきている。

そう、いつ終わるとも知れない道のりだが、道筋は見えているのだ。ただ、安定的な量産を目指し、再現性を高く継続して実行するためには、まだ越えるべきハードルは山ほどある。

「近い未来には与えられた使命を具現化する」。そう胸に秘め、今日も直感を働かせ作業に没頭している。

他人から見れば終わりのないものに思えるかもしれない。

でも、大丈夫だ。ゴールまでの目星はついている。